抗ガン剤治療への不安を減らす!脱毛の知識と事前の準備【医療用ウィッグ】
がんに対する治療は個人によって様々ですが、その一つに抗がん剤を使用した薬物療法があります。抗がん剤治療と聞いて、一般的に思い浮かぶ副作用は髪の毛が抜ける【脱毛】だと思いますが、それがいつから始まるのか、脱毛は治るのかといったことまでは知らない方が多いのではないでしょうか。
ほとんどのことに共通して言えることですが、知らないということは不安につながります。がん治療は身体的だけでなく、不安や落ち込みなどから精神的にもストレスを感じてしまいますが、それに加えて知らないということで先が見えず、より不安を強くしてしまうケースもあります。ただ逆を言えば、知っているということは先を予測し、さらに今後に備えることも可能となるため精神的なストレスを軽減するきっかけにもなり得るでしょう。
今回は脱毛についての知識とそれに対して事前に行える準備について説明していきます。
抗がん剤治療とは
治療に用いられる薬剤は、がんの種類や進行度などによって異なります。使用される薬剤としては主に6種類あり、それぞれの効果については以下の通りです。
「代謝拮抗剤」:がん細胞の増殖を抑制
「アルキル化剤」:がん細胞のDNAを破壊
「抗がん性抗生物質」:がん細胞膜を破壊したり、がんのDNAの合成を抑える
「微小管作用薬」:細胞が分裂するのに重要な微小管というものの働きを止めることによって作用
「白金製剤」:DNAと結合することによりがん細胞の分裂を抑制
「トポイソメラーゼ阻害剤」:DNAを合成する酵素の働きを抑えることによって作用
その中でも副作用の脱毛が起こりやすい薬剤としては、①シクロホスファミド、②ドキソルビシン、③パクリタキセル、④ドセタキセルなどが挙げられます。
どうして脱毛が起きるのか
抗がん剤の3大毒性には骨髄毒性と消化器毒性、そして脱毛があります。頭皮の細胞は骨髄や消化管粘膜と同じように細胞分裂が活発に行われており、毒素に対して非常に感受性があるので抗がん剤による障害を最も受けやすいとされています。そのため、頭皮の細胞が抗がん剤治療や放射線治療の影響を受けると脱毛が引き起こされます。
一般的に、治療が開始されてから1〜3週間後に髪の毛が抜け始め、1〜2ヶ月でピークとなります。特に頭頂部や後頭部で顕著であり、女性ではびまん性に起こりやすいとされています。
抜けた髪は生えてくるの?
抗がん剤治療による脱毛は一次的なものであって、通常は治療が終われば新しい毛髪が生えてきます。脱毛の程度は年齢や薬物の容量、栄養状態、ホルモン状態など様々な要因によって変化するため予測することは難しいとされていますが、3〜6ヶ月経過すると毛髪が生え始めて1年程度でほぼ回復します。その際に直毛だった人が縮毛になってしまったり、色調が変化したりなどが見られることもありますが、長期的には元の髪質へ回復すると言われています。
治療前に準備できること
現在、脱毛に対しての有効な予防法は確立されていません。クールキャップを使用した頭皮冷却による低温効果は、頭皮血流を減少させることで細胞への抗がん剤の到達を減らし、薬剤の殺細胞効果を弱めると考えられていますが、腫瘍の頭皮転移が隠れていた場合にはその腫瘍細胞も同時に守ってしまうということが懸念されています。
ただし、予防はできませんが脱毛が起きる可能性があることがわかっていれば、それに備えて準備することができます。
抜け毛への対応
医療用ウィッグなどの準備
頭髪ケアで注意すること
脱毛が嫌だということで洗髪を怠ってしまうと、毛嚢炎などといった感染症を引き起こしてしまう危険性があります。頭皮を清潔に保つためには洗髪は不可欠であり、普段通りの頻度で洗髪も行なってください。ここでは頭皮への刺激を抑えた低刺激性のシャンプーを使うことをお勧めします。洗い方は強くこすらずに、軽く洗い流すように行ってください。