作業療法士がオススメする介護・福祉用具(自助具)まとめ【食事編】




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食事は毎日欠かすことのできない、健康な体を維持するためには必要不可欠な存在です。特に高齢者にとって【食べること】というのは、楽しみや生きがいの観点からも非常に重要であり、身体的だけではなく、精神的な健康にも大きく関与しています。食事は栄養補給だけでなく、家族や知人とのコミュニケーションの場にもなり、それが日々の生活の活力となり得ます。そのため、健康寿命が伸びている現在では、高齢者が食べることに対する意欲を保てる環境づくりは医療の現場だけではなく、家庭でも重要とされています。

普段の生活では特に意識することはないと思いますが、脳梗塞などが原因で急に摂食・嚥下障害や麻痺が生じてしまうことがあります。若い方も怪我や病気で利き手が上手く使えないといったことも多くあり、そうしたイベントが手が動かしにくく食器や箸が上手く持てないといった状態を引き起こし、今まで楽しみだった食事もつらい時間へと変えてしまいます。出来ないことをしなければいけない時間は辛く長く感じてしまい、ストレスにもなってしまいます。

そんなときに、福祉用具の一つである自助具が大いに役立ちます。自助具とは病気や怪我によって低下した身体機能を補い、日常生活における困難な動作を可能な限り容易に行えるよう補助してくれる道具のことをいいます。自分でできることを一つでも多く保つことで、身体機能の維持はもちろん精神面にも作用し、何より人の手を借りずに自分でできるということは自身にも繋がり自立した生活を目指す上で必要な積極性を引き出してくれることでしょう。

自助具には様々な種類があり、食事や更衣、入浴、家事と用途よって使い分ける必要があります。今回は第三弾の【食事編】ということで、食事の際に便利な自助具を紹介していきます。紹介していく中には介護保険を使うことでよりお得になることもあるので、利用されている方はケアマネージャーなどにご相談いただくと良いかと思います。

また、第一弾【入浴編】、第二弾【玄関・トイレ編】とそれぞれについてもオススメの福祉用具を紹介していますので、こちらも併せてご参考ください。




自助具紹介

食事場面で使用できる自助具は、箸・スプーン・器・コップなど数多くあるというメリットはありますが、それと同時に使用者の身体機能に合わせて選択する必要があります。それぞれの自助具について簡単なオススメポイントなども合わせて紹介していきますので、自助具選びの参考にしていただければと思います。

麻痺や怪我によって利き手がうまく使えなくなった場合でも、これまで通り箸を使ってご飯を食べたいと思う方は多いと思います。そういった方に持ちやすく工夫されたものを紹介します。

 

《オススメポイント》

麻痺や怪我などで握力が低下した方、利き手が使えなくなった方、食べ物をうまく挟めない方などにオススメです。箸はバネで連結していて、握るだけで箸先が合うように作られています。見た目もパッと見ただけでは自助具とはわからないので、外出先でも周囲を気にせず使うことができます。

 

《オススメポイント》

握るだけで箸先が合う構造に加えて、持ち手が大きく作られているので、握る力が弱い方でも使用することができます。右手用、左手用と分かれていて、軽く手にフィットしやすくなっているため、箸を使うことに自信がない方にもオススメです。




スプーン

首や腕・手首・指などが動かしにくいために、食べ物をすくいにくかったり口元までスプーンが届かない方も食べやすく工夫されたものがあります。

 

《オススメポイント》

スプーンの先が二股に分かれている構造なので、そのまま先を閉じなければフォークとして食べ物を刺すことができ、先を閉じるとスプーンとして食べ物をすくう事ができる、ほかにもつまむ・引っ掛ける・切るなど一つで複数の使い方ができる優れものです。食べ物によってわざわざスプーンやフォークに持ち替える必要がなくなります。

 

《オススメポイント》

スプーンやフォークの首の部分を曲げられるように作られているため、身体や頭、手首などが動かしにくい方でも食べやすい形に変形させる事ができます。柄の部分は持ちやすい太いスポンジグリップになっているので、握力の弱い方でも簡単に握る事ができます。

 

《オススメポイント》

マジックテープで手に巻きつけて使えるので、握力が弱い方や手指が曲がらない方にオススメです。スプーンやフォークをカフに差し込んで使用するため、洗うときはカフから外して洗うことができます。




コップ

寝たままでも飲みやすいもの、握力の弱い方でも持ちやすいものなど用途によって形が変わります。

 

《オススメポイント》

本体内に傾斜がついているので、首を傾けなくても飲めるのが特徴です。蓋がついているので衛生的で、ストローを刺して使うこともできます。取っ手がついているので握力の弱い方でも持ちやすくなっています。

 

《オススメポイント》

ストローは自在に曲がる柔らかな素材でできていて、取っ手付きと持ちやすい構造になっているため寝た状態でも飲む事ができます。

 

《オススメポイント》

使いやすいホルダー(取っ手)が付いていて、自身で使う場合ももちろんですが、介助する方が飲ませやすい飲み口になっています。洗いやすい洗浄ブラシもついているのでキレイに保ちやすく配慮されています。




まとめ

今回は食事場面で便利な福祉用具(自助具)を紹介させていただきました。冒頭でもお話ししましたが、食事は毎日の生活で欠かすことのできない大切な時間であり、その時間が少しでも楽しみになるようにこちらで紹介したものを参考にしていただければと思います。

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