作業療法士がオススメする介護・福祉用具まとめ【入浴編】




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病気や怪我によって、普段問題なくできていたことがとても大変になってしまうケースは多々あります。

足の骨折や脳梗塞など原因は様々ですが、[ベッドから起き上がる][椅子から立ち上がる][お風呂に入る][屋外を歩く]など、毎日行うようなことができなくなってしまうと動くことすらも億劫になってしまう方が多く見られます。

そのような場合の改善策として、誰かの介助を借りて行うことも一つですが、まずは身体機能を補うために周囲環境を変えていくという手段があります。ベッドの向きを変えてみたり、手すりを設置してみたりと少し環境を変えるだけで動作が格段に行いやすくなることは少なくありません。また、環境を整えることは本人だけじゃなく、介助者の負担も軽減するということにも繋がります。介助してもらう側も介助する側もお互いの負担が軽減することで二次的な怪我の予防になり、【少しでも楽に動ける・少しでも介助が楽になる】環境づくりは高齢化が進む日本においては今後さらに必要になってくるでしょう。

そこで便利になってくるのが、介護・福祉用品です。私は作業療法士として患者様のリハビリを行っていますが、病前と同じ状態までは回復が望めないこともあり、そういった場合には患者様に合わせて薦めさせて頂いています。

実際にどのような商品があり、どのように使用するのが良いのか。今回は入浴編ということで入浴時に便利な品を紹介させいただきます。入浴は身体を清潔に保つことに加えて、ストレス解消など心の健康にも良い働きをしてくれます。しかし、同時に浴室は滑りやすく転倒しやすかったりと怪我をする危険性も高いことを忘れてはいけません。適切なものを選択し、環境を整えていくことが重要になります。紹介していく中には介護保険を使うことでよりお得になることもあるので、利用されている方はケアマネージャーなどにご相談いただくと良いかと思います。

第二弾として【玄関・トイレ編】の記事も書いていますので、こちらも併せて参考にしてください。




入浴に必要な動作

入浴は大きく分けて[浴槽をまたぐ][座る・立ち上がる][身体を洗う]動作があり、もちろんそれぞれ手助けとなる介護・福祉用具は異なります。そのため動作ごとに分けて紹介していきたいと思います。

【浴槽をまたぐ】

バスマット

浴室内の床は濡れているため、またぎ動作では特に滑りやすくなっています。安定した浴室内の動作を行うためにはまず、足元の環境を整える必要があります。

《オススメポイント》

マット一枚一枚がジョイント式になっている為、浴室のサイズに合わせてつなぎ合わせることで調整ができます。またマット上に水が溜まりにくい表面形状にもなっていて、浴室内の移動やまたぎ動作などを安定して行うことができます。

 

《オススメポイント》

浴槽内に置くだけで簡単に設置することができ、転倒予防や座った姿勢を安定させることができます。また浴槽台と併用する場合などにはハサミでカットすることができるので邪魔にならないよう細かな調整を行うことが可能です。

 

手すり

足を上げて片足立ちとなるまたぎ動作を安全に行うために使用します。足を上げることができても少しフラフラして不安定な方に薦めさせていただいています。

《オススメポイント》

浴槽の縁にはめ込んで使用できるため、取り付けも簡単で工事が一切不要です。締め付けノブがトルク制御となっているため、適切な締め付け力で取り付けができます。また防カビ加工がされているためお手入れも簡単になっています。ただし、設置可能な縁の寸法がありますので購入前に確認をしてください。

 

入浴台

手すりを使用してもふらつきが強い場合、一度浴槽の縁に座ってから片足ずつまたぐ方法がありますが、その際にこちらの入浴台を使用することで安定してスムーズな動作ができます。

《オススメポイント》

工事不要で取り付けも簡単です。座りやすい固定式の円形座面となっており、細い浴槽の縁に座るよりも安定したまたぎ動作が可能となります。

 

バスボード

浴槽の縁をまたがせて設置するため、座った状態で浴槽を出入りすることができます。

《オススメポイント》

円座が回転する仕組みになっているため、体の向きを変える際にお尻の肉がよじれる心配がありません。使用者も介助者も安心して楽にまたぎ動作を行うことができます。




 

【座る・立ち上がる】

シャワーチェア

洗体や洗髪を行う際に使用するもので、普段使用している椅子のような高さなので立ち上がりが楽に行えます。

《オススメポイント》

背もたれ、座面、肘掛けが柔らかく安心して使用していただけます。ワンタッチで折り畳むことができるので使わないときには、場所をそれほど取らずに浴室内に置いておくことができます。

 

浴槽台

浴槽の中に置くことで、浴槽内での立ち座りが楽に行えます。浴槽をまたぐ際にも足を大きく上げる必要がなくなり為、安定して行えます。

身体や浴槽の深さに合わせて高さを4段階変えることができ、高さ目盛りがついているので簡単に調整が可能です。本体が軽い為取り付け・取り外しが腰に負担が少なく行えます。

 

バスリフト

浴槽に取り付けて使用し、座面部分が上下に昇降するので浴槽内での立ち座りを補助してくれます。

《オススメポイント》

立ち座りが大変な方でも機械が介助をサポートしてくれるので、介助者の負担も軽減することができます。湯船には浸かりたいけど立ち上がれない、介助するにもなかなかうまくいかない、そんな方には少し高価ではありますが長期的に使用する場合はオススメです。

 




 

【身体を洗う】

洗体ブラシ

麻痺や怪我によって背中や足先に手が届かない場合などに便利な道具です。

《オススメポイント》

柄の部分が曲がっている為、背中に手が届かない方にオススメです。先端のスポンジ部分は、水分を吸収しにくい素材から出来ているので、濡れて重くなることはありません。簡単にスポンジの取り外しもできる為、お手入れも楽です。

《オススメポイント》

こちらは柄の部分は先ほどのより短いので、背中ではなく手の届きにくい反対の腕や足などを洗う際に便利です。

《オススメポイント》

両手にはめて使用することができるので、介助者が楽に体の隅々まで洗うことができます。絹素材なので肌触りもよく、また洗濯して使用することもできます。

 

まとめ

入浴に関する介護・福祉用具を一部紹介させていただきました。これまでは大変で入りたくなかったお風呂も、道具の適切な使用によってとても楽になり生活の楽しみと変化します。本来の入浴の目的である身体を清潔に保つことに加えて、心のリフレッシュに少しでも役立てていただければと思います。

ご家族あるいはお知り合いの方で困っている方がいらっしゃれば、ご参考にしていただければ幸いです。

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