傷ってどうやって治るの?オススメの絆創膏選び【創傷の治癒過程】
皮膚は、外界から受ける刺激や変化に対して身を守るための防御機能を持っています。この防御機能が破壊された状態を「創傷」といって、微生物の侵入や恒常性維持の破綻といった危険性を引き起こしてしまいます。
創傷治癒とはそんな創傷に対する生体の防御・修復反応であり、創傷治癒過程は人体が外界からの脅威を防御する上で、きわめて重要なプロセスとなっています。
転んでできてしまった擦り傷、料理をしていて間違って切ってしまった切り傷、そのような傷がどのようにして治っていくのか…絆創膏を貼ってしばらくすれば自然と治ってしまう事が多いので普段はそれほど気にすることはないでしょう。しかし、改めて言われるとその構造を知りたいと思いませんか?
こちらの記事では皮膚とは一体どんな構造をしているのか、また、擦り傷や切り傷などがどのようにして治癒していくのかといったことを説明していきます。
皮膚の構造
まずは「皮膚って何?」「中は見えないけどどんなものが隠されているの?」そんな疑問からお答えしていきます。
皮膚は大きく①表皮、②真皮、③皮下脂肪組織に分けられます。
①表皮ー表皮細胞からなり、細胞の形態により外層より、角質層、顆粒層、有棘層および基底層の五層の細胞成分より構成。基底層にはメラニンを作る神経由来性の色素細胞(メラノサイト)がある。
②真皮ー真皮は外層より乳頭層、乳頭下層、網状層の三層に区分。
③皮下脂肪組識ー皮下脂肪組識は膠原線維と弾力線維の網目の中の脂肪細胞からなる。
このように①〜③の細かな組織によって皮膚が構成されています。
治癒過程
では、その皮膚の連続性が断たれた場合、すなわち「創傷」と呼ばれる傷というものができた場合どのようにして治っていくのでしょうか?
創傷治癒の過程は、(1)血液凝固期(2)炎症期(3)増殖期(4)成熟期の4つのステージに分けて表現されます。それぞれの期間が互いに重なって治癒していきます。
(1)血液凝固期
皮膚に損傷が生じると出血が起こり、凝固した血液が創を一時的に閉鎖します。
血液凝固を担った血小板は、各種サイトカインを放出することで、治癒を邪魔するものを撃退する「白血球」、創を埋めるために働く「線維芽細胞」、補給路を担当する「新生血管」などを呼び寄せていきます。
(2)炎症期
炎症とは、生体組織が有害な刺激を受けたときに引き起こされる一連の組織反応のことを言います。
創傷治癒過程においては修復を開始する前に治癒を邪魔するものを除去する必要があり、その時期が炎症期と呼ばれます。
除去には白血球(好中球、好酸球、好塩基球)が働き、これらの炎症に関わる細胞が炎症性細胞です。
(3)増殖期
(a)細胞外マトリックス合成
受傷から2~3日で本格的修復作業が始まります。ここで欠損を埋めようとするのが線維芽細胞であり、欠損は細胞だけで埋まるのではなく細胞とそれが作り出す細胞外マトリックスで充鎮されていきます。
細胞外マトリックスは細胞のまわりを構成する骨格構造。代表的なものとしてコラーゲン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸といったものです。
(b)血管新生
創傷では創傷部に向かって新しい血管ができる血管新生という現象が起こり、細胞に必要なエネルギーを与えていきます。ちなみに血管新生と細胞外マトリックスおよび線維芽細胞やマクロファージなどから成る組織を肉芽組織と呼びます。
(c)創収縮と上皮形成
肉芽組織が形成されると、線維芽細胞から分化する筋線維芽細胞が欠損部面積を縮めようとする創収縮という現象が起きていきます。そして表皮細胞が遊走して創を閉鎖します。
(4)成熟期(リモデリング期)
細胞外マトリックス合成は数週間にわたっていきますが、初期には赤く盛り上がっていることが多い状態です。通常数ヶ月経過すると赤み・膨隆は軽減し、傷は目立たなくなる。
その際に、増殖期から成熟期にうまく移行せず長期にわたって目立つ傷跡が「肥厚性瘢痕」であり、さらに元の創傷を超えてまで細胞活動が持続・拡大して腫瘍のように増大してしまうのが「ケロイド」と言われます。
治癒が遅れてしまったら…
治癒を阻害する因子は色々とありますが、
その中でも「加齢、肥満、異物、ステロイドや抗がん剤の使用、栄養不良、喫煙、高血糖、糖尿病などの基礎疾患、多部位の感染症」などがあげられます。
創傷治癒過程が障害されると、難治性である潰瘍・褥瘡などといったもの形成することになってしまいます。さらに悪化すると感染のリスクに常に曝されるばかりでなく、QOL(生活の質)も著しく障害されることになるのです。また反対に、創傷治癒が過剰になると肥厚性瘢痕やケロイドを形成してしまうでしょう。
傷を綺麗に治すために
創傷を覆うことをドレッシングといい、創傷に好ましい局所環境を造り、早くきれいに治癒させるためにドレッシング材に求められる条件として、
①湿潤環境 ②保湿効果 ③創傷面の低酸素環境 ④浸出液の吸収 ⑤適度な圧迫と弾力 ⑥経済性 ⑦扱いやすさ
などが大切になっていきます。
市販のバンドエイドを購入される際は、上記の項目を意識した上で選んでいただくことをお勧めします。
ちなみに私がお勧めするバンドエイドはこちらです。
先ほど挙げた条件の多くを満たしており、特に注目すべきはモイストヒーリングという機能が採用されているため、傷口を密閉することで潤いを保ち早くキレイに再生させてくれます。
また、部位に合わせて様々な形状が用意されているため、状態に合わせて選ぶこともできますのでぜひ使ってみてください。